日本のスキマ vol.1~地震ソムリエ~

日本の隙間産業にスポットライトを当てる
新コーナー「日本のスキマ」
 
熊本地震によって再度注目されるようになった「地震ソムリエ」
まだまだ聞き慣れないこの「地震ソムリエ」について
今回は地震ソムリエの資格をお持ちでいらっしゃる、
三空時信さんにお話をお聞きしました。

ジシンが地震の資格取ったら面白いなーって 
―「地震ソムリエ」とは一体なんでしょうか?
ワインも香りや味の余韻を楽しむように、
地震も余震を楽しもうじゃないかと考案されたものなんです。
周りの人も揺れを感じた時に震度がいくつかを素早く宣言したりすると思うんですけど、それをもうちょっと精度上げたのが地震ソムリエですね。
あくまで揺れが震度”何”なのかを当てるというか感じ取るということが重要なんですね。
ワインと違って我々は揺れを評価したり味わったりしません。
そんな余裕ぶっこいてたら死にかねませんからね。
 
地震ソムリエは日本にどのくらいいるんですか?
だいたい200人前後だと思います。
東日本大震災の一年後くらいから制度がスタートしたので
そんなに人数はいないんですよ。
あまり知られてないんですけど、
国の決まりで各県に2人は駐在してなくちゃいけないことになってるんですよね。
 
―なぜ地震ソムリエを取得されたんですか?
通信教育で取れるんです(笑)
本当はボー◯ペン◯講座を受講しようと思って資料請求したら
 
『最短1日!センスだけで資格GET』
 
―そんな魅力的な文字列がこの世にあるんですね。
あるから困りますね。
僕の下の名前が「時信」って書いて「ときのぶ」と読むんですけど、
小さい頃はよく「ジシン」って呼ばれてましたから。
ジシンが地震の資格取ったら面白いな-っていうそんなノリです。
中身の無いエピソードで申し訳ないです。
ボールペン字も取りましたけどね。

―でも合格されてるということは、センスがあったから取得できたってことですよね?
残念ながら一発合格というわけには行かなかったんですよ。
筆記問題はほぼテキスト通りの問題が出て内心「これは貰った!」と思ってました。
でも現実はそう甘くなくて実技で落ちちゃったんです。
 
―実技試験って何をするんですか?
みなさんも一度は地震体験車って乗ったことあると思うんですけど、
アレに乗って震度を当てるんですよね。
ちょっとビビってしまって震度当てるどころじゃなくて散々でしたね。
でもその後受けなおして見事合格しました。
 

 僕はみんなの赤ペン先生みたいなものですね
―今回の熊本地震地震ソムリエ初仕事だったんですよね?
そうですね。初仕事が大仕事でした。
本来こんな仕事は来ないほうがいいんですけど。
正式に仕事として国の方から依頼が来ましたね。
緊急出動ですよね。

―緊急災害時ってどういうお仕事されるんですか?
それぞれの県に配属されてますので、被災状況の確認を最初にやります。
緊急時は避難勧告の有無や避難所の開設など我々が出す権利があります。
気を抜いてたら本震来てしんどかったですね。実は緊急時の地震速報は僕らが出してることもあるんですよ。

―えっ!?あれって機械じゃないんですか!?
細かく言うと震度3以上の地震ということになりますね。
テレビ速報の一報目で出る震度は僕らが定めることになってます。
震源やどこで揺れたという細かい情報はもちろん計測器ですけど。
 
今回の熊本地震のような大きいレベルの地震の時は、規模が広くてデータの収集に時間がかかって人力の方が速報出せるのが早かったりするんですよね。
気象庁に「震度速報」という震度3以上の揺れを掲載するページが有るんですけど、
あれも一部は人力ですね。
今回は設備の一部が壊れちゃったので止む負えずです。
今回は余震が凄過ぎて丸1日ページの更新作業で寝れなかったですね。
 
―意外と原始的なんですね。そんなに更新する必要あるんですか?
本震のあとの余震って最初の方怖いんですよ。
その恐怖を少しでも和らげるための”地震ソムリエ”なんですよね。
慣れてくると震度当てゲームが出来ると思うんですけど、
テレビは震度4ぐらいじゃ報じなくなりますからね。
何回出さなきゃならんのだって話です。
その答え合わせって結局そのページで確認出来るから一番早いんですよね。
みんなが正解は震度”何”なのか
追い求めている時に少しでも余裕が生まれるなら、いち早く答えを掲載してひと盛り上がりしてもらわなければという謎の使命感がありますね。
僕はみんなの赤ペン先生みたいなものですね。

―熊本の地震ソムリエ予備生のみなさんに一言お願いします。
被災された方々にお見舞い申し上げます。
ずっと地震に怯えていてもしょうがないと思いますので、少し余裕が出たら震度を当ててみてはいかがでしょうか。
震度3と4の違いが分かった時に新たな扉が開けますので、その時はユー◯ャンで申し込んで見てください。

―ありがとうございました。